介護ニュース
介護施設におけるカメラの補助金制度について
利用者の安全確保や従業員の負担軽減を目的に、カメラの導入を考えている介護事業所も多いのではないでしょうか。カメラを設置することで、事故防止をはじめケアの質の向上や職員の定着率アップといった効果も期待できます。カメラの導入に際し、実は介護施設に設置する際には、国や地方自治体から補助金による支援が受けられるのをご存じでしょうか。今回は介護施設におけるカメラの補助金制度についてまとめました。
介護施設のカメラ設置に関する補助金制度
介護施設のカメラ設置に関する補助金制度は、利用者の見守りや防犯目的とした場合に適応されるケースが多く見られます。2021年度受付分はすでに募集終了となっていますが、補助金制度の具体例をいくつか紹介します。
東京都の例
東京都の概要については関連記事「介護現場のICT導入支援事業について東京都を例に徹底解説」にて詳しく紹介しています。
大阪府の例
大阪府では、「社会福祉施設等施設整備費(国庫補助事業)」として、防犯カメラの設置を含む障害者支援施設等での防犯対策等の強化を目的とした補助金の交付が行われました(2022年(令和4年)度中に行われる施設整備に関する事前相談受付は終了しています)。
【概要】
大阪府の「社会福祉施設等整備費国庫補助金」は、障害福祉サービス事業や障害通所支援事業等を実施する社会福祉法人への国庫補助制度です。対象となるのは、新たな施設を整備する「創設」のほか、定員の増員に向けた「増築」や「増改築」、耐震化対策などを含む「改築」、施設の延面積を増加する「拡張」、防犯対策及び安全対策の強化にかかわる整備を含む「大規模修繕等」、消防対策となる「スプリンクラー設備等整備」、老朽化への対応となる「老朽民間社会福祉施設整備」、仮設施設の整備となる「応急仮設施設整備」の9つがあります。
【対象施設】
カメラの設置に補助を受けられるのは、「大規模修繕等」にあたる整備のうち、「障害者支援施設等における防犯対策等の強化に係る整備」の「非常通報装置等の設置」に該当するケースです。対象施設は以下のとおりです。
- 障害福祉サービス事業所
- 障害者支援施設
- 居宅介護事業所
- 重度訪問介護事業所
- 同行援護事業所
- 行動援護事業所
- 短期入所事業所
- 就労定着支援事業所
- 自立生活援助事業所
- 共同生活援助事業所
- 相談支援事業所
- 福祉ホーム
など
【補助単価】
- 国が定める社会福祉施設等施設整備費国庫補助金交付要綱に基づき、補助基準額を上限に整備に要する経費の4分の3の金額
※補助単価は、対象となる施設やその規模、整備内容によって条件が細かく設定されているため、概略のみを記載しています。
【手続き】
工事を行う前年度7月末までに、生活基盤推進課整備グループに施設整備を相談します。相談受付表を作成しメールで送付後、電話予約にて、大阪府庁で相談・協議を行う流れです。必要書類をすべて提出した時点で事前相談・協議が完了します。なお、相談受付表は、受付開始の際に掲載される予定です。
※ 令和4年度整備分の相談受付は終了しています。
愛知県の例
愛知県では、「社会福祉施設等施設整備費補助金」において、防犯カメラの設置を含む障害者支援施設等での防犯対策等の強化を目的とした補助金の交付が行われました(2022年(令和4年)度整備分の提出期間は終了しています)。
【概要】
県が「社会福祉施設等整備費国庫補助金」を活用し、福祉施設入所者等の福祉の向上を図ることを目的として実施する制度です。対象となるのは、大阪府で実施されている制度と同様、「大規模修繕等」などの9つがあります。工事を行う前年度に整備計画を立て、工事の年度に内示の通知を受けた後、事業を実施します。また、対象経費を重複して、お年玉付き郵便葉書等寄付金配分金並びに公益財団法人JKA、もしくは公益財団法人日本財団の補助金の交付は受けることはできません。
【対象施設】
カメラの設置に補助を受けられるのは、「大規模修繕等」にあたる整備のうち、「障害者支援施設等における防犯対策等の強化に係る整備」の「非常通報装置等の設置」に該当するケースです。対象施設は、大阪府のケースと同じです。
- 障害福祉サービス事業所
- 障害者支援施設
- 居宅介護事業所
- 重度訪問介護事業所
- 同行援護事業所
- 行動援護事業所
- 短期入所事業所
- 就労定着支援事業所
- 自立生活援助事業所
- 共同生活援助事業所
- 相談支援事業所
- 福祉ホーム
など
【補助単価】
- 国が定める事業(施設)の種類ごとの補助基準単価の合計額と対象経費(総事業費から対象外経費を控除した額)の4分の3のいずれか低い方
※補助単価は、対象となる施設やその規模、整備内容によって条件が細かく設定されているため、概略のみを記載しています。
【手続き】
工事を行う前年度の6月上旬までに、整備の具体的な内容などをまとめた整備計画に関する書類を提出します。その後、市町村からの依頼に基づいた関係書類を7月下旬までに提出し、採択を待ちます。採択となれば、3月頃に国への協議資料を作成するよう県から依頼があります。工事を実施する年度の7月頃を予定して内示が通知されます。内示が通知された年度内に事業が完了しない場合、補助対象外となります。
※ 令和4年度整備分の整備計画の提出期限は終了しています。
和歌山県の例
「令和4年度和歌山県社会福祉施設等施設整備費補助金」では、防犯対策となるカメラ設置を含む整備に対して補助金交付の受付が行われました(2021年(令和3年)8月5日で募集は終了しています)。
【概要】
県が「社会福祉施設等施設整備費国庫補助金」を活用し、特に必要性・緊急性の高い事業所等の整備に対して補助をする制度です。対象となる整備内容は幅広く、新たな施設を整備する「創設」のほか、定員の増員に向けた「増築」、耐震化や津波対策を含む「改築」、緊急災害用の設備や防犯対策などを含む「大規模修繕等」など8つがあります。2021年8月に、事業計画の提出が行われた法人に対するヒアリングが行われ、翌2022年3月ごろに協議が行われたのちに、同年8月以降に補助金交付が決定する予定です。年度内に事業着手のうえ、設置完了後は県の検査に合格する必要があります。
【対象施設】
カメラの設置に補助を受けられるのは「大規模修繕等」における防犯対策の一環となるケースです。対象施設は以下のとおりです。
- 障害福祉サービス事業所(療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援事業)
- 短期入所事業所
- 共同生活援助事業所
- 児童福祉施設(福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設)
- 児童発達支援事業所
- 放課後等デイサービス事業所
※和歌山市に所在する施設等(障害児入所施設・児童発達支援センターは除く)は、和歌山市が実施主体となるため、補助事業の対象となりません。また、「国庫補助金交付要綱」で定められた法人のみが対象です。
【補助単価】
- 整備に要する対象経費の4分の3の額(国=2分の1 、和歌山県=4分の1、上限あり)
※補助単価は、対象となる整備内容や施設によって条件が細かく設定されているため、概略のみを記載しています。
※応募書類作成の際は、上記の単価を使用しますが、補助基準額の変動等により補助額が変更となる場合があるとされています。
【手続き】
「令和4年度和歌山県社会福祉施設等施設整備費補助金に係る協議等について」の詳細を確認し、必要書類を作成し提出します。提出の際は、障害福祉計画との整合性を図るため、事前に各市町村障害福祉所管課への相談が必要です。事前に相談がされていない場合、あるいは所在市町村の承認が得られない場合は申請受付ができません。
※年度によって補助対象が異なります。今後、申請を検討している場合には、年度ごとに和歌山県障害福祉課の案内をご確認ください。
参考:令和4年度和歌山県社会福祉施設等施設整備費補助金について|和歌山県公式サイト
カメラの設置で安全性の向上と業務の効率化を
カメラを設置することで、介護施設内の安全性の向上や業務の効率化が期待できます。防犯対策、見守り対策いずれの目的であっても、サービスの質向上にもつながることでしょう。しかし、カメラ設置には費用がかかるという課題があるのも事実です。新たな補助金申請が始まっている可能性もあるので、管轄する自治体に確認してみてはいかがでしょうか。たいていの場合、補助金申請時に「補助金を受けても、受けなくても実施することが決まっている」、もしくは「実施が明確に検討されている」ことを確認されるため、事前に事業計画をしっかり立てておくことが大切です。事前準備を万全にして利用者、施設側ともにメリットのある設備投資を行いましょう。
参考:すべて本文中に記載