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介護業界も脱ハンコ!業務効率化へ一歩前進か
2020年の年の瀬、いよいよ介護業界にも「脱ハンコ」の流れがやってきました。2020年12月25日より、これまで押印が必要だった介護関連書類のうち、指定申請と報酬請求にかかわる書類について、押印が不要となったのです。脱ハンコは介護業界にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。脱ハンコの背景や現状をふまえながら、考えてみましょう。
介護関連書類が脱ハンコとなった背景
介護分野にかかわる書類は多岐にわたります。介護事業者が指定を受けるために必要な書類や、利用者が介護サービスを利用するための契約書や同意書など、押印が必要な書類がたくさんあるのです。これらの書類は、印鑑を押す手間がかかるだけでなく、書類をチェックする側の自治体でも押印を確認する作業が必要なため、業務負担が増える一因となっていました。
厚生労働省では、介護分野の文書にかかる負担軽減として、2018年度から必要書類の見直しや手続きの簡素化を検討してきました。その一環として2020年3月には、指定申請と報酬請求の付表と添付書類については、押印不要とする考えを示していたのです。
ところが、新型コロナウイルス感染症が世界的広がりを見せたことで、状況は一変しました。感染予防の観点から、行政の手続きは電子申請が進み、介護保険申請も多くの自治体で電子申請ができるようになりました。また、安倍政権からデジタル化を推進する菅政権となったことで、行政手続きの押印見直しが急激に進んだといえるでしょう。
脱ハンコが可能となった介護関連書類にはどんなものがある?
厚生労働省は2020年12月25日に、改正省令を公布しました。これによって押印が原則不要となった書類は、介護施設や事業所が自治体へ提出する書類のうち、次の2種類です。
- 指定申請にかかわる書類
- 報酬請求にかかわる書類
具体的には、地域包括支援センターが要介護認定申請を代理申請するときの申請書や、介護施設や事業所が自治体から指定を受けるための申請書や誓約書、付表、添付書類などです。指定申請と報酬請求に関する書類すべてにおいて、押印は原則不要となりました。
押印が不要となった書類については、新様式の書類がすでに示されています。ただし、これまでの様式がまったく使えないというわけではなく、手書きの打ち消し線を引いて修正して使用可といった経過措置がとられています。
また、厚生労働省では、契約書や重要事項説明書、ケアプラン、利用する介護サービスの計画書などに同意を得るための押印についても、押印不要をルール上明確化する方向性を示しています。
脱ハンコが介護業界にもたらすメリット
脱ハンコは介護業界にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
押印不要の書類が増えてくれば、事業所は書類作成の手間がひとつ省かれることになります。また、行政は押印を確認する手間がなくなるため、各種手続きがスムーズに進むことでしょう。
その結果、介護事業所では利用者とかかわる時間が多く確保できるため、より質の高いケアやサービスを提供できるようになります。行政においても、要介護認定申請や介護事業所の指定申請の手続きが簡素化され、結果が出るまでの期間が短縮される可能性も考えられます。利用者にとっても、印鑑を押す手間が省けることは、精神的な負担の軽減につながるでしょう。
このように、脱ハンコは介護事業所と行政、利用者と、かかわる人すべてにメリットをもたらすと考えてよいのではないでしょうか。
脱ハンコを機会に事業所でも業務効率化を進めよう
今後、脱ハンコの波はますます大きくなるでしょう。実際に、行政手続き全体では、99%以上の書類で押印の廃止決定もしくは廃止の方向で準備が進んでいる段階です。日本全体で脱ハンコが進むいまだからこそ、事業所においても、さまざまな作業を見直すよい機会になるのではないでしょうか。脱ハンコを機会に、ぜひ事業所でも業務効率化を進めていきましょう。
参考: