介護ニュース
国が実施している介護施設向け感染症対策支援事業の特徴とは
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、介護施設では感染予防対策への負担が大きくなっています。施設の利用を控える利用者も少なくないため、在宅介護事業者のなかには、厳しい状況に立たされているところもあるのではないでしょうか。そこで国は、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業」として、介護事業者への支援を始めました。今回は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業から、介護事業者にかかわる項目について紹介します。
介護施設における感染症対策支援事業
介護施設における感染症対策支援事業は、利用者を受け入れるために必要な、新型コロナウイルス感染予防対策の経費の一部を助成する事業です。対象となる事業者はすべての介護サービス事業所(中略)および介護施設などで、2020年4月1日以降に、感染症対策の徹底したサービスを提供するために発生した、経費の一部が支給されます。利用者や職員に感染者がいるかどうかは問われません。
支援事業では、対象となる必要経費が決められています。おもな対象経費は次のとおりです。
- 感染症対策に必要な衛生用品等の購入費
- 感染予防を徹底するために必要な面会室の改修費
- 感染予防のための消毒費用や清掃費用
- 感染予防のために必要な人員を増員する際にかかる人件費
- タブレットやICT機器を導入するときの購入費やリース代(通信費用はのぞく)
支給される助成金は、事業所の種類ごとに上限額が決められています。上限額は、ショートステイを除く居宅サービスは1事業所ごと、入所施設・居住系サービスは1定員ごとに設定されています。例えば、通常規模の通所介護事業所であれば89万2千円、定員が40名の特別養護老人ホームでは3万8千円×40名の152万円が上限額となります。この上限額と実際にかかった費用のうち、どちらか低いほうが実際に助成金として支給されます。
利用者の介護サービス利用再開支援を行うときの事業者支援事業
在宅介護サービスを利用している高齢者のなかには、新型コロナウイルスの感染予防対策として、サービス利用を中止した人も少なくありません。そのような利用者に対し、2020年4月1日以降に利用再開の支援を行った在宅サービス事業者と居宅介護支援事業者は、利用再開支援における助成金を受けることができます。この支援事業の対象となるのは、その事業所の利用者が過去1か月間に1回もサービスを利用しなかった場合に、次のような利用再開支援を行った在宅介護サービス事業者および居宅介護支援事業所です。
- 在宅介護サービス事業者
担当ケアマネジャーと連携して利用者の健康や生活状況、希望するサービス内容を確認したうえで、利用者の要望をふまえたサービス提供を行うための調整などの実施
- 居宅介護支援事業者
利用者の健康や生活状況、希望するサービス内容および感染対策に関する要望の確認や、サービス事業者との連携、必要に応じてケアプランの修正などの実施
支給される助成金は、行った支援方法が電話か訪問かで異なり、電話での支援は1利用者あたり1,500円、訪問の場合は3,000円となります。また、居宅介護支援事業所における支援では、看護師や医師、薬剤師などと連携して利用再開支援を行った場合は、電話で4,500千円、訪問で6,000円が支給されます。ただし、支給されるのは1事業所1利用者あたり1回のみです。
感染予防の環境整備を行う際の事業者支援事業
感染予防の環境整備を行う際に必要な支援対象物品を購入した場合には、「介護施設における感染対策支援事業」とは別に助成金を受け取ることができます。対象となるのは、2020年4月以降に3密を避けたサービス提供に必要な環境整備のための物品を購入した在宅サービス事業者です。助成金の上限は1事業者あたり20万円で、上限額と実際の購入費用のどちらか低いほうの金額が助成金として支給されます。支給対象となる物品の例としては、次のようなものがあげられます。
- 長机
- 飛沫防止パネル
- 換気設備
- (電動)自転車(リース費用含む)
- タブレット等のICT機器(リース費用含むが、通信費用はのぞく)
- 感染防止のための内装改修費
介護施設向け感染症対策支援事業を活用して新型コロナ危機を乗り越えよう
新型コロナウイルスの感染状況は、いまだ先行きが見えず、不安な事業者も多いでしょう。今回紹介した新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業は、それぞれの併用が可能です。支援事業の申し込みは都道府県が窓口となっています。まだ申し込みをしていない事業者は、早めに申し込みをし、この厳しい状況をともに乗り越えていきましょう。
参考: