介護業務改善
介護計画の基本情報、アセスメントシートとは?
アセスメントシートとは、ケアマネージャーや介護福祉士が介護サービスを行う際に、利用者のさまざまな基本情報を聞き取り調査して記入できる書式になっているシートのことです。
ケアマネジメントにおいては、まず利用者にアセスメントを行います。アセスメントシートを作成し、これにもとづいてケアプランを作成するのです。「ケアプランの作成→サービス担当者会議→ケアプランの確定→ケアの実施→モニタリング→評価」をひとつのサイクルとして、再びアセスメントを行います。アセスメントシートを更新し、利用者に継続してもっとも適切な介護サービス計画を立案し実施していきます。
このように、アセスメントシートは、介護計画、実施のスタート時はもちろん、3か月や半年ごとに利用者のモニタリングおよび評価の結果を受け、常に更新作成されていくものです。
利用者情報の総合カルテ「アセスメントシート」
アセスメントシートは、利用者情報の宝庫でありカルテともいえる存在です。介護計画を立てるうえでのすべての基礎となり、なおかつ利用者の現在、過去、未来が把握できるものでもあり、主に下記の項目で構成されます。
- 利用者のこれまでの生活の歴史(どのような人生を過ごしてきたか)
- 現在のADLやIADLの状態(身体機能としてどのような動作や日常の生活動作ができるのか)
- 主治医および医療機関の利用状況(どのような持病や治療歴、通院歴があるのか)
- 現在の生活状況(同居者、協力者の有無や日々の生活スケジュール)
- 家族構成と現在の人間関係(利用者を取り巻く家族、親族の状況)
- 本人および家族などが要望・希望する生活(どのような生活を望んでいるのか)
- 生活環境(どのような住環境、衛生環境などで暮らしているのか)
現場のプロに聞く、アセスメントシート記入作成のコツとは?
アセスメント作業は、利用者の自宅で限られた時間内で行わなくてはならないことが多く、また利用者の健康や認知の状態もあり、状況に応じた対応が必要となります。
現場のケアマネージャーやサービス提供責任者などは、メモを多用しています。インタビューしながら、できる限りの情報をメモ用紙に書き残していき、後で整理しながらアセスメントシートへ書き込んでいくケースが多いようです。
最近では、利用者本人や家族の同意を得たうえで、スマートフォンなどで生活環境や間取り、トイレやキッチンなどの生活設備を撮影しておくことも多いとのことです。たとえば、トイレや入浴、調理などの場合に、利用者の動線や動作を安全に改善するために、どのようなものが障害になっているのかなども、後で細かく分析ができます。
また、アセスメントシートの役割として一番大切なポイントは、本人が現在どのような生活を望んでいるかという点を探ることです。本人の要望や希望を具体的に明確化することが重要になります。利用者の希望こそが、介護計画の短期、長期目標の礎となるものであり、そこからどのような支援をすべきかが可視化されていくのです。
良いアセスメントシートづくりが良い介護計画をつくる原点に
アセスメントの現場ではどれだけ多くの情報を拾えるかがポイントです。些細なことも、とりとめのない話も、多少話が矛盾していても、ひとつでも多くの情報を書きとめることが大切です。そのなかから利用者の本音があぶり出されてきます。
高齢者の人々は、他人に迷惑をかけたくないという、我慢を美徳としてきた世代でもあり、なかなか思っていることを話してもらえないケースも多いようです。また、聞き手によって気づくポイントにも差があります。先輩のアセスメントに同行して、どのような視点やチェックポイントがあるのかなどを学ぶのもよいでしょう。
最後に、アセスメントシートは個人情報が凝縮されたものなので、取扱いには注意が必要です。シートの作成に使用したメモや資料をはじめ、PC上の文書ファイルや写真などのデジタルデータも、必要なくなったらすぐにシュレッダー廃棄や消去することも忘れず行ってください。
参考: