介護業務改善
介護施設の経営戦略!「SWOT分析」を使ったプランの立て方とは?
介護施設を経営するうえで、事業の拡大や経営難に悩んだことはありませんか? 同業者に後れをとらないためにも、事前に経営戦略を立てておきたいところですよね。とはいえ、具体的な計画案が見つからないという人も多いでしょう。今回は経営の世界では基礎的な分析法として広く用いられている「SWOT分析」を使った経営戦略の決め方について紹介します。
SWOT分析とは?
「SWOT分析」とは企業を評価するための分析方法で、SWOTは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字をとった呼び名です。
施設の強みや弱みを分析し、介護業界で生き残るための経営戦略を立てることを目的としています。分析や戦略といっても難しく考える必要はありません。施設の特徴や施設を取り巻く環境がどうなっているのかを整理することから始めればよいのです。ただし、施設の特徴を知っただけでは戦略と呼べません。「SWOT分析」のあとに「クロス分析」を行うことで、より効果的な経営戦略を立てることができます。「クロス分析」については後章で紹介しますので、まずは自施設のSWOTを見つけましょう。
「SW」と「OT」の探し方
SWOT分析をする場合、まずは内部要因である「SとW(強みと弱み)」について考えてみましょう。自施設は、利用者や地域の住民からどのように評価されていますか? また、介護職員からはどのように思われていますか? 小さなことでも構いませんので、SとWを書き出してみましょう。SとWを把握したあとは、外部要因である「OとT(機会と脅威)」を見つけ出し、分析のための要素を洗い出します。
とはいえ、当事者となると、客観的な物事の見方が難しくなるもの。そのため、なかには「自分の施設のSWOTがわからない」という人もいるはずです。その場合は下の例を参考にしてみてください。特徴を見つけるためのヒントになるでしょう。
【S(強み)の例】
- 通所サービスや訪問介護など、広範囲にわたるサービスを提供できる
- 利用者のプライバシーに配慮した個室を提供できる
- 施設が新しくキレイで利用者や家族の評判がよい
【W(弱み)の例】
- 理想とするサービスを提供するには介護職員が不足している
- 介護職員の教育、研修が行き届かずサービスの質や利用者の満足度に不安がある
- 介護職員の労働条件が改善されておらず、サービス向上を指示しにくい
【O(機会)の例】
- 高齢者の増加に伴い、介護施設への入所の希望が増えている
- 質の高いサービスを提供できる介護施設の人気が高まっている
【T(脅威)の例】
- 新規参入など、同業者が増加して利用者の獲得競争になっている
- 介護人材の慢性的な不足で、介護職員の確保が難しくなっている
いかがでしょうか? 例を見ていくと、SWOTの要素には周知の事実が多いことがわかります。施設の中で働いている介護職員にとっては当たり前のことでも、客観的に見ると強みや弱みにあたる事柄は少なくないのです。また、「質の高いサービス」といった施設が目指している方向のような少し主観的な見方を入れると、よりよいSWOTになります。
「クロス分析」を使った経営戦略の立て方
施設のSWOTを見つけたあとは、「クロス分析」を行います。クロス分析とは、SWOTにおける4つの要素のなかから2つを選び、組み合わせる分析方法です。組み合わせは「内部要因(強み・弱み)×外部要因(機会・脅威)」となります。SWOTで洗い出した要素である施設の特徴を「強み×機会」「強み×脅威」「弱み×機会」「弱み×脅威」に当てはめて分析して、いずれかの戦略を選択します。
具体的には、次のように分析して戦略を立てていきます。
例)「強み×脅威」で戦略を立てる場合
強みを活かし、脅威を退けるための方法を考える
⇒サービスの幅広さ(強み)をアピールし、増加する同業者(脅威)とサービスの質で差別化を図るなど。
「クロスSWOT分析」を行う場合は、おおまかな方向性を決めておくと結果を出しやすくなります。例えば「攻め」の方向に進む場合は「強み」とほかの要素を組み合わせ、逆に「守り」の方向に進むなら「弱み」とほかの要素を組み合わせるとよいでしょう。また、「弱み」を克服することが「強み」に変わり、攻めの経営戦略を取れる場合もあります。攻めと守り、どちらの経営戦略を取るかを決めておくだけでも、今後の運営方法が明確になります。
施設を発展させるために目標を決めましょう
介護業界で生き残り、利用者に満足されるサービスを提供するためにも、事前に経営戦略を立てておく必要があります。施設の強みを活かすことで、どのように弱みや脅威を回避できるのか。また、どうすれば強みをさらに強化し、弱みを克服して施設が発展できるのか。SWOT分析を活用することで、改善方法が見つかる可能性があります。まずは、分析のための要素を書き出すところから始めてみましょう。
参考: