ホスピタリティとは? 介護の質向上のための大原則と3つのステップを知ろう

介護はホスピタリティが重要とされる分野であり、介護現場におけるホスピタリティの質はサービスの質に直結します。良質なホスピタリティを実現するには、スタッフがホスピタリティマインドを身につける必要があります。そのための基本となる原則と、3つのステップについて知っておきましょう。

介護現場でホスピタリティが重要視される理由

そもそもホスピタリティとは、「心をこめてもてなすこと。手厚く親切なもてなし。歓待」という概念です。サービス業全般における行動やマインドのあり方として広まっており、介護の現場でも近年ホスピタリティが注目されるようになってきました。

ホスピタリティにはさまざまな定義がありますが、共通していえるのが、ホスピタリティは単なるサービスとは異なることです。サービスでは提供される側とする側に主従関係が存在しますが、ホスピタリティは思いやりの気持ちを持ち、お互いを理解しあって信頼関係を築き、お互いを高め合う相互利益の関係性です。特に介護の現場では、利用者の尊厳を保ちながら、多職種連携によるチームケアを促進するために、ホスピタリティ的な視点が役立つと考えられます。

介護スタッフがホスピタリティマインドを持って利用者やその家族に対応することは、良質な介護サービスを提供することを意味します。それにより、利用者の満足度が高まることでQOLの向上につながり、施設全体の価値向上も期待できます。このようなことから、介護業界でホスピタリティが重要とされているのです。

介護におけるホスピタリティの大原則とは

介護スタッフがホスピタリティマインドを持つことで、介護の質の向上が期待できます。ホスピタリティマインドを身につけるために知っておくべきなのが介護のホスピタリティの大原則となる要素です。それは利用者や家族に安心で快適な環境やサービスを提供し、利用者の個別のニーズや希望によりそった対応をするためにも欠かせないものです。介護のホスピタリティの大原則は、具体的にはこれらの要素からなります。

・温かい対応

利用者がおだやかに落ち着いて過ごせる雰囲気づくりが大切です。利用者とその関係者を温かく迎え入れ、親切でおだやかな態度で応対しましょう。また、気持ちのよいあいさつ、笑顔、ちょっとした声かけなどで、円滑なコミュニケーションを心がけましょう。

・個人を尊重したケア

それぞれの利用者のニーズや希望に沿ったサポートを提供します。一人ひとりの嗜好やライフスタイルに配慮して、その人らしく心地よく過ごせるよう工夫しましょう。

・コミュニケーション

ホスピタリティの実現には、スタッフが利用者や家族と信頼関係をつくることが欠かせません。そのためには、コミュニケーションが重要になります。利用者のニーズや考えをよく把握し、スタッフと利用者のお互いの理解を深めるために、積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。

・快適な環境

利用者が快適に過ごせるよう、空間を整備することも重要です。施設や居室を安全で衛生的に維持するのはもちろん、温度や明るさ、音、においなどにも気を配り、リラックスできる心地よい環境づくりを目指しましょう。

ホスピタリティある介護実現のための3つのステップ

ホスピタリティある介護は、ホスピタリティマインドを身につけた介護スタッフが利用者の要望を推しはかり、誠実に考えて真心を込めてサービスを提供することで実現します。それには、こちらの3つのステップが必要になります。

・目配り

入口となる最初のステップです。利用者をこまやかに目配りし、本人の意図を受け取るようにします。そのためには観察力が欠かせません。利用者や家族をとりまく環境や、必要としていることをじっくり観察し、求められるケアや支援を行いましょう。

・心配り

ホスピタリティの核となる部分です。本人から受け取った意図から、どうすれば本人にとってプラスになるかを検討します。利用者の状態から本人の想いを推し量ることになりますが、それには想像力が必要になります。適切なサポートを提供するために、利用者や家族の状況や気持ちを思いやりながら、想像力を働かせるようにしましょう。

・気配り

仕上げのステップです。どのようにケアやサポートを提供すれば、利用者の満足や喜びになるか考えましょう。利用者の話を深く聞いて、共感し、尊重することで、相手は大切にされていると感じます。そのためには、スタッフとしての態度や言葉づかいが非常に重要になります。

これらのステップの実践を通して、介護現場で利用者が安心して快適に過ごせる環境が提供できます。

ホスピタリティの大原則と3つのステップを通して利用者によりそう

介護現場で利用者の満足度向上を図るには、スタッフが誠実に高齢者の気持ちに向き合い、要望を理解することが重要です。表面的な会話だけではなく、利用者の本当の想いを理解するには、相手にしっかりと向き合わなければなりません。このよりそう姿勢こそがホスピタリティなのです。

介護現場ではさまざまな職種が連携しながら、利用者の満足や笑顔を考え、安心して過ごせる環境づくりに向けて試行錯誤を繰り返しています。介護のホスピタリティの大原則と3つのステップを通じて、ホスピタリティある介護の実現を目指しましょう。

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