介護ロボットに期待される役割と導入への課題 補助金の活用も

要介護状態の高齢者が増加する一方で、介護現場では慢性的な人手不足が続いています。

その課題解決の突破口として期待されているのが、ロボット導入による業務負担の軽減です。

 

介護現場で活用されるロボットを介護ロボットと呼びますが、そもそも介護ロボットとはどのような役割を担うのでしょうか?

今回は、介護ロボットの定義や種類、そしてロボットによって負担軽減が期待される業務分野についてお伝えします。

また、実際の現場でロボットを導入することで、どのような課題があるのかも考えます。

 

介護ロボットとはどんなもの? 定義と種類

近年、注目されている介護ロボットですが、その定義とはどのようなものなのでしょうか? はじめに、ロボットについての定義を知っておきましょう。

 

ロボットは情報を「感知」、「判断」し、「動作」する、知能化した機械システムのことで、「センサー」「知能(制御)」「駆動」、3つの系統の技術要素から成ります。

このうち、介護ロボットとは「ロボット技術が応用され、利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ介護機器(*)」

のことです。

*引用:厚生労働省「介護ロボットの開発・普及の促進」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209634.html

 

また、介護ロボットは使用する目的や役割によって、大きく3種類に分けられます。

 

・介護支援型ロボット

主に介護スタッフの負担を減らすことを目的としたロボットです。

移乗や排泄支援など、身体的な負担が大きい業務をサポートします。

介護される利用者の心理的な負担軽減にもつながることが期待されます。

 

・自立支援型ロボット

介護される利用者の動作を支援するロボットです。

このロボットを活用することで、軽い支援を必要とする利用者でも自力でできることが増えればADLが向上しますし、それが本人の自信にもつながりQOLの向上も望めます。

 

・見守り型ロボット

カメラやセンサーとシステムの連携で、遠隔で施設などの利用者を見守るロボットです。

異変をリアルタイムで検知することで、事故を未然に防ぎ、利用者の安全を守ります。

 

 

介護ロボットによる負担軽減が期待できる業務は?

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厚生労働省と経済産業省では、介護ロボットを活用できる分野として、以下の6つの業務分野を開発重点分野として開発支援をしています。

分野ごとの支援内容は次の通りです。

 

・移乗支援

介護を必要する利用者をベッドから車イス、ストレッチャーなどへの移乗介助を補助し、介護スタッフを支援する機器。

装着型と非装着型がある。

 

・移動支援

介護を必要とする利用者の外出や屋内での立ち座り、歩行を機器で支援。

装着型と非装着型がある。

 

・排泄支援

トイレ誘導、トイレ内での動作、排泄物処理などを機器で支援。

 

・見守り・コミュニケーション支援

カメラやセンサーと通信機器の連動により、利用者の安否を確認。

ロボット技術を用いた機器で、コミュニケーションをサポート。

 

・入浴支援

入浴の際の浴槽への出入り動作を機器で支援。

 

・介護業務支援

介護業務についての様々な情報を収集・蓄積し、スタッフ間の情報共有をサポート。

 

このように、介護現場の幅広い分野での活用を目指し、ロボット開発が進んでいます。

介護はスタッフの心身の負担が大きく、人手が求められる仕事ですが、慢性的な人手不足が続く中、現場の負担軽減や効率化が望まれる分野といえます。

 

例えば、移乗支援や移動支援に介護ロボットを導入することで、作業に必要な介護スタッフの人数や身体的な負担を大幅に軽減できるでしょう。

入浴や排泄支援では、介護される利用者が感じるスタッフへの気まずさといった心理的な負担も減らせると考えられます。

また、見守りなどの業務を部分的にロボットに移行することで、人的リソースをより優先度の高い業務に集中させることが可能です。

 

こうしたことから、介護ロボットを導入することで労働効率や介護の質を高めることにもつながり、介護業務全般の生産性向上が期待できます。

 

 

介護ロボット導入の現状と課題

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このように、介護ロボット導入には大きなメリットが望めますが、実際には介護現場への導入はどれほど進んでいるのでしょうか?

 

全国の介護事業所を対象に介護労働安定センターが行った「介護労働実態調査」によると、令和2年度の時点で、介護ロボットを導入していると回答した事業はおよそ11%にとどまりした。このうち、ロボットが導入されている業務分野別の統計をみると、「見守り・コミュニケーション支援」が4.6%でもっとも多く、次いで、「移乗支援」2.2%、「入浴支援」1.8%、「介護業務支援」1.3%、「移動支援」0.6%、「排泄支援」0.3%、「その他」0.5%となっています。

一方で、介護ロボットを導入していないと答えた事業所は80%を超えており、介護現場へのロボット導入率は非常に低いことがわかります。その理由として、同調査の結果から導入には主に次のような課題があることがみえてきました。

 

まず最大の課題となるのが、初期費用や維持費用ともに高額であることです。

ほかにも「設置・保管に場所が必要になる」「事業規模からすると投資に見合う効果が期待できない」「消耗品も含め維持管理が大変」「操作技術の習得や誤作動への不安がある」などの課題があげられています。

 

 

費用的な課題には補助金の活用も

介護ロボットには介護業務の負担を軽減する期待が寄せられており、実際に導入されることによって、事業所全体の生産性の向上や利用者のADLとQOLの向上も望めます。

しかしながら、以上のような課題から、導入している現場はまだまだ少数です。

 

導入への最大の課題とされる資金面に関して、自治体によっては介護ロボット導入への補助金制度を設けているケースもあります。

ロボットとは別に、介護業務支援のためのICT導入サポートを行なっている自治体もあるので、地元自治体の補助金情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

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