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スクラッチアートとは?高齢者塗り絵がさらに進化!レクリエーション・脳トレに活用しよう!
気分がリフレッシュできる、脳トレ効果が期待できるといったことから、高齢者施設のレクリエーションでも塗り絵がよく使われるようになりました。高齢者塗り絵として専門の書籍や無料で塗り絵を提供するサイトなども登場していますが、最近では、さらに手軽で施設で導入しやすいとして「スクラッチアート」が注目されています。高齢者施設に向けての「スクラッチアート」のメリットなどを紹介します。
レクリエーションではなくアートとして捉える 高齢者塗り絵に奥深い世界観
塗り絵を楽しむのは子どもだけではありません。「大人の塗り絵」はフランスなど海外で女性中心に始まった人気のムーブメントで、いまや立派な大人の趣味のひとつといえます。このように塗り絵のアート性はあらためて認識されるようになっており、モチベーションも維持しやすく長続きしやすいので、介護の現場にはぴったりのレクリエーションと言えます。
専門の書籍も数多く出版されており、フランス発のとてもアーティスティックな大人向けの塗り絵や、誰もが知る人気キャラクターの塗り絵なども無料でダウンロードできるサイトもあります。ここでは、高齢者施設のレクリエーションなどで塗り絵を取り入れる際の絵柄選びのヒントや注意点について説明しましょう。
塗り絵の絵柄選びのヒント
施設の利用者にはクリエイティブな活動に慣れている方もいれば、そうでない方もいます。これまであまり創作活動をしてこなかった方にも興味を持ってもらうには、声がけが大切です。そこで、コミュニケーションのきっかけになるような絵柄を揃えておくのがよいでしょう。例えば、このようなものです。
・全国の名所旧跡などの風景:「◯◯県の◯◯城ですね。行ったことありますか?」などと会話の糸口に。
・季節感のあるもの:季節の花や雪山、紅葉の風景など、季節ごとの行事やお祭りなどをテーマにしたもの。レクリエーションを行う時期にあったものを用意しましょう。「そろそろ、◯◯の花の時期ですね」などと声がけしやすくなります。
・犬や猫など身近な動物:動物好きな人、ペットを飼っている(いた)人は手を伸ばしやすいものです。
・幼稚なイメージの絵柄は避けましょう。また、高齢者には食事制限のある人が少なくないため、食べ物の絵柄も避けた方がよいでしょう。
注意点
・塗り(できあがり)見本もいっしょに用意しましょう。仕上がりのイメージがあればゴール(目標)になり、導入・作業がしやすくなります。
・著作権法違反になるので、書籍など印刷物をコピーして使うことはできません。また、無料の塗り絵サイトでも、規約により図案の改変や塗り絵以外の目的での使用を制限している場合が多く、規約に違反すると著作権侵害になります。したがって、こうしたサイトの使用にあたっては規約をよく確かめるようにしましょう。
これは塗り絵? 話題のスクラッチアートとは
高齢者施設でのレクリエーションとして定着してきた感のある塗り絵ですが、最近は塗り絵の一種である「スクラッチアート」が話題になっています。スクラッチアートは普通の塗り絵とは一味違う新感覚のアートです。一見すると黒いシートに白の線で図案が描かれただけのようですが、この黒い面はスクラッチ面と呼ばれ、特殊な加工が施されています。
スクラッチ面に印刷された白い線を専用のペンでなぞるように削っていくと、きらきら光るホログラムやカラフルな線があらわれます。色鉛筆などの画材を使わずに、初心者でも設定された線に沿って削っていくだけで色鮮やかな美しいアートが仕上がります。上級者用には黒い無地のシートも販売されていて、自由に思い通りのアートを描くことも可能です。
このように、誰でも手軽に始めることができるスクラッチアートは、高齢者の趣味としてだけではなく、適度な集中力と手作業が脳トレになり、認知症予防の効果もあると期待されています。大手の書店だけではなく、100円ショップでも扱い始めるほどポピュラーになってきました。
普通の塗り絵よりも親しみやすい? スクラッチアートを始めるには
高齢者施設にとって、スクラッチアートは、一般的な塗り絵よりも何かとメリットが多いと考えられます。その理由として、まずあげられるのが、あらかじめ印刷された線をなぞるだけなので、絵を描くことに馴染みがない人でも取り組みやすいことです。
また、たくさんの本数の色鉛筆を用意せずに済みます。普通の塗り絵だと、利用者が多ければそれだけ多くの色鉛筆が必要になり、削る手間もかかり、特に感染対策の必要なこの時期に共用するのは何かと煩雑です。その点、スクラッチアートなら、ひとり1本ずつ専用のペンがあればいいので管理がラクです。さらに、スクラッチアートは製品の特性上コピーして使えないので著作権侵害の心配がありません。
では、実際に初めて施設のレクリエーションに取り入れるのにあたって、絵柄選びのヒントと注意点、用意するものについて説明します。
絵柄選びのヒント
・絵柄の選び方は上記の<塗り絵の絵柄選びのヒント>を参考にしてください。
・スクラッチアートはハガキ大から30センチ角程度までさまざまなサイズがありますが、初心者向けにはハガキ大やA5サイズくらいがおすすめです。
・サイズにかかわらず複雑で細かすぎる絵柄は避けるようにしましょう。
注意点
・スクラッチ面にずっと触れていると手が汚れることがあり、作業中に削りカス(ゴミ)が出ます。この汚れとゴミ対策を考えておきましょう。
・特にできあがり見本がなくても作業ができますが、見本がある方がゴールをイメージできスムーズに作業ができます。製品に添付されている見本などを活用しましょう。
用意するもの
・スクラッチアート
・専用のペン:鉄筆や竹製のペンなど、通常スクラッチアートに付属して販売されています。細かい部分を削るにはつまようじも使えます。
・新聞紙などスクラッチアートの下に敷くもの:削りカスが出るので、テーブルの汚れ防止に。
・ハケ、筆:削りカスを払うのに便利です。使い古しや安い物でかまいません。
・ゴミ箱:作業しながら削りカスを捨てられるよう、テーブルの上に置ける小さなものを用意しましょう。使い捨ての空き容器などでも代用できます。
・この他に、手が汚れるのを防ぎたい人のために薄手のプラスチック手袋や削りカスで服が汚れるのを防ぐためにエプロンを用意しておくといいかもしれません。
スクラッチアートや塗り絵をレクリエーションに取り入れよう
利用者のなかには「絵心やセンスがないから……」と創作的な活動を敬遠しがちな方もいますが、高齢者施設でのレクリーションでは上手下手といったことではなく、楽しむことが何よりも大切です。最初は、好みの絵柄を眺めながら介護スタッフや他の利用者とコミュニケーションするだけでもいいのです。自ら興味が持てれば継続的に行えるようになります。
アート関連の趣味は生涯の友として高齢者に寄り添うことができ、QOLの向上も期待できます。特にスクラッチアートは、絵心のあるなしにかかわらず、手軽に導入できる点も魅力的です。こうした観点からも、施設での導入を検討してみてはいかがでしょうか。
*こちらの記事もご参照ください。