今話題!知っておきたい最新介護用語3選

介護の世界は日々進歩しています。新しい技術の開発が進むとともに、次々と新しい介護用語も生まれているのです。今話題となっている最新の介護用語を3つ紹介します。

要介護予備軍を意味する最新介護用語「フレイル」

フレイルとは、英語で虚弱を意味する「Frailty(フレイルティ)」をもとに、日本老年医学会が提唱した造語です。加齢により体がストレスに弱くなったことで、筋力や心身の活力が低下した状態をいいます。

フレイルの状態になると、病気にかかりやすくなったり、病気が悪化しやすくなったりします。また、筋力が低下することで歩行状態が悪くなり、転倒を何度も繰り返したり骨折したりすることもあります。認知機能も低下しやすく、物忘れがひどくなったり自分の感情がうまくコントロールできなくなったりなどで、日常生活に支障をきたす可能性も考えられます

フレイルには、次の3つの要素があります。

  • 身体的要素

筋力の低下や体重減少などの身体機能に直接関わること。動作が遅くなる、転倒しやすくなるなども身体的要素のひとつ。

  • 精神的要素

認知機能の障害やうつ病などの精神的、心理的な問題。

  • 社会的要素

ひとり暮らしや閉じこもりがちで、社会交流が少ない状況。

これらの要素がそれぞれ重なり合って、フレイルになることも多いでしょう。フレイルは放置しておくと、生活の質を下げ、日常生活に支障をきたし、寝たきりになる可能性があります。しかし、早い段階でフレイルに対処すると、症状を改善させ要介護状態になるのを予防することができます。

したがって、フレイルで大切なことは、早期発見し早く対応することです。「最近活気がなくなった」「体重が6か月で2~3キロ減った」などの状態は、フレイルの前段階の可能性があります。普段からバランスの良い食事や適度な運動ができるよう支援したり、デイサービスを利用して社会との接点を持たせたりするなどし、フレイルになりにくい環境を整えましょう。

介護食を新分類した最新介護用語「スマイルケア食」

加齢や疾患などにより食べる機能が低下した人向けに、食べやすい工夫をした食事を介護食といいます。介護食にはさまざまな種類があり、内容も日々進化しています。そのような状況下において、農林水産省は介護食品の普及や選択がスムーズに進むよう、食品の範囲を整理し「スマイルケア食」と名付けました。

スマイルケア食は、食べる機能の状態を大きく3つに色分けすることにより、状態に合わせた介護食品を誰もが適切に選ぶことができるようにしています。

  • 青マーク

かむことや飲むことに問題はないものの、健康を維持するうえで栄養補給を必要とする人向けの食品。最近食べる量が少なくなった人や、体重減少がみられる人に適する。

  • 黄マーク

かむことに問題がある人向けの食品。どの程度かめるかによって「容易にかめる食品」「歯ぐきでつぶせる食品」「舌でつぶせる食品」「かまなくてよい食品」の4種類に分けられている。

  • 赤マーク

飲み込むことに問題がある人向けの食品。形状によって「少しそしゃくして飲み込める性状のもの」「口の中で少しつぶして飲み込める性状のもの」「そのまま飲み込める性状のもの」の3種類に分けられる。

スマイルケア食には早見表があり、症状からチャートを追うことで適切な介護食を選択できるようになっています。ただし、食べることについて気になることがあるときには、まず医師などの専門家に相談しましょう。

介護施設の新形態として注目の最新介護用語「仕事付き高齢者向け住宅」

仕事付き高齢者向け住宅とは、施設に入所する高齢者に仕事をしてもらうことで、生き生きとした生活を送ってもらうことを目的とした施設です。経済産業省が提唱し、2017年12月から社会福祉法人伸こう福祉会と東レ建設がモデル事業を開始しました。

このモデル事業では、入所者本人の希望を尊重する形で仕事選びが行われました。それぞれの仕事で自分の力が発揮できるよう、医師や家族に注意点の確認や作業工程の分割、作業時間を短時間に区切るなどの工夫がなされました。その結果、仕事を行った入所者が手ごたえを感じたり、自分の仕事に自信を持ったりという変化が起こっています。

仕事付き高齢者向け住宅では、今後どのような仕事を提供できるのか、仕事の対価はどこから捻出するのかといった課題があります。また、仕事の内容によっては仕事現場の人員配置が必要になる可能性もあることから、人員についてもこれから検討が必要となってくるでしょう。

2019年5月には、仕事付き高齢者向け住宅「銀木犀<船橋夏見>(ぎんもくせいふなばしなつみ)」がオープンしました。銀木犀は、近年地域に開かれた施設として注目を浴びているサービス付き高齢者向け施設です。関東圏に同系列のサービス付き高齢者向け住宅が10施設、グループ施設は2施設あります。銀木犀<船橋夏見>では、食堂「恋する豚研究所LUNCH TABLE 船橋夏見」を併設することにより、高齢者や認知症のある人の就労を実現しています。

高齢になっても自分にできる範囲で仕事をしたいと思っている人は多く、その思いは施設に入所している人も変わりません。そのため、今後ますます仕事付き高齢者向け住宅が増えてくる可能性はあるでしょう。

最新介護用語を知って介護業界の今後の流れを汲み取ろう

最新の介護用語のなかには、今後の介護業界で大きな流れをつくる可能性があるものも含まれています。そのため、新しい介護用語を知っておくことで介護業界がどのような方向性を持っているかを理解することができます。介護業界の動向を知るためにも、新しい介護用語にアンテナを張っておきましょう。

 

参考:

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