介護業務改善
介護スタッフがもっと夢のあふれるキャリアパスを描くためには?
厚生労働省の提唱する「職業能力評価基準」をより簡単に理解、活用できるように作成したツール、「キャリアマップ」と「職業能力評価シート」。該当業種である在宅介護業では、介護スタッフがかかわる仕事の具体的なキャリアが時間軸と仕事の習熟度を一目で見渡せ、管理層側が介護スタッフ本人といっしょにキャリアを立体的に構築できるものでした。(関連記事:キャリアマップで自分の介護ワークの未来を描く~在宅介護編~)
今回は、施設介護に特化した場合にぴったりと応用できそうな職場環境実態把握ツールをご紹介しながら、事業所をより活性化するために「介護スタッフ個々の仕事の実態把握→自分スタイルのキャリアパスの構築→介護スタッフの定着率アップ」のノウハウをさぐります。
介護の現場を改善するための職場環境実態把握ツールとは?
2017年春、株式会社リクルートキャリアが、情報発信プロジェクト「HELPMAN JAPAN」を立ち上げ、職場環境実態把握ツール「はたけあ」の提供をスタートさせました。「はたけあ」は、介護職の採用や定着の支援など、介護の業界で働く人を増やしていくことを目的としています。
「定着」がキーワード
2025年には介護人材の不足は約38万人にも達するといわれる昨今、人材確保の困難はますます深刻度を深めていくでしょう。その一方、(公財)介護労働安定センターの、「平成27年度の介護労働実態調査」における施設系介護職員の離職率は16.5%にのぼると分析されています。つまり、新しく就職する人材を求めていくことだけではなく、いかにして介護の仕事をする人たちを定着させていくかが今後の就業人口の安定への重要なポイントになると考えられているのです。
「はたけあ」で導き出されるもの
介護施設に人材を定着させるためには、まず、介護現場環境の細部にわたる可視化、情報収集、分析、把握が必要とこの「はたけあ」ではとらえています。そのため、「はたけあ」は、介護業界独自の業態に合わせた職場の活性度、コミュニケーション度、上司のマネジメント力、離職や転職などの潜在的な意向を60項目にわたる詳細なアンケート方式の調査を行い、その分析によって今、現場で何が起ころうとしているのかという実態の把握や問題点をあぶり出していくツールとなっています。
介護スタッフの満足度をアップさせて、各自が夢のある将来を描けるように
人材をしっかりと施設に定着させるためには、介護スタッフが「夢のあるキャリアパス=未来予想図」を描けるように、介護スタッフの満足度を上げることが不可欠です。「はたけあ」を提供する「HELPMAN JAPAN」では、この定着を「従業員満足度が高い=勤続意向が高い=人材の流失率が低い」というロジックでとらえています。
また、HELPMAN JAPAN の「介護サービス業従業員満足度調査」では、「従業員満足度」には「職員が楽しそうに仕事をしている」、「尊敬できる職員が多い」など、ポジティブな印象の職場環境が影響していることもわかっています。介護施設によって、働く人材の満足度や意識、仕事へのモチベーションなどは異なり、たとえ同じ事業体が運営していたとしても、施設ごとに大きく異なる場合があります。経営層に、自施設の環境や特徴を把握しきれないという悩みがあるのならば、「はたけあ」のようなツールを利用して、介護スタッフの満足度、不満度を把握し、施設内環境の可視化を図ることが有効といえそうです。
まずは現場の実態をしっかり把握したうえで、介護スタッフがそれぞれ自分スタイルの目標やビジョンを明確に持ち、管理層を含めた組織全体で共有。施設や事業所の現状に則した形でキャリアマップ化し、本人のキャリアパス=未来予想図づくりに施設一丸となって取り組む体制を構築していけるようにしたいものです。
参考: