介護業務改善
介護現場での利用価値大!コミュニケーション能力を高める認知行動療法の応用方法とは?
介護職員は、コミュニケーション能力を最大限に活用する職業といっても過言ではないでしょう。しかし、なかには利用者とのコミュニケーションは好きだが、職員間でのコミュニケーションは苦手という人も。働くうえで大切となるコミュニケーション能力を最大限に高める認知行動療法の応用方法についてお伝えします。
認知行動療法とは?
まずは、認知行動療法とはどのようなものなのかについて紹介します。
認知行動療法は、ものごとの受け取り方や考え方のことである「認知」に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。ストレスを感じると人は悲観的になりがちで、問題が解決できない心の状態となることがあります。一方で、人は楽しさややりがいを感じる活動を行うと、心が楽になります。このように、認知行動療法は活動を行うことを通じて、ストレスに対応できるよう心のバランスをとっていくという手法で、うつや不安障害、不眠症などにも効果のある治療法とされています。
認知行動療法の具体的な流れ
次に、認知行動療法ではどのような治療を行うのか、具体的な流れを見てみましょう。
- 患者を理解し治療方針を立てる
まずは対象である患者を1人の人間として理解することから始まります。そのうえで、その人の悩みや問題点、長所などを聞き取り、治療方針を立てます。そして、面接を進めながら、患者とその治療方針を共有していきます。
- 行動療法を行い、生活のリズムをつける
行動療法を行うことで、生活のリズムをつけていきます。行動療法では、生活における活動を以下の3種類に分類して、優先順位をつけて行うことが大切であると考えます。そして、それぞれの活動を、毎日の生活の中で無理なくできる範囲で行っていきます。この方法を行動活性化といいます。
- 日常的に行う決まった活動
- 優先的に行う必要のある活動
- 楽しめる活動ややりがいのある活動
楽しめる活動ややりがいのある活動を増やしていくことは特に効果的だそうです。また、これらの活動を通して症状に影響していると考えられる問題を解決し、適応力を高めることを目指します。
- 認知の偏りの修正
自動思考(気持ちが大きく動揺したりつらくなったりしたときに自分の頭に浮かんでいた考え)に焦点をあてて、そのように考えた根拠と反証を検証することによって自己の認知の偏りを修正していきます。
以上の流れを経て治療終結へと進みます。
介護現場で認知行動療法を応用するためは?
認知行動療法は、短い時間でより効率的に効果が得られる簡易型のものが開発されており、さまざまな分野で活用されています。介護の現場では、この認知行動療法をどのように応用していくことができるでしょうか。ここでは、認知行動療法をヒントに、介護職員が特に職員間におけるコミュニケーション能力を高めるための方法について考えていきます。
行動活性化を積極的に行い自分の気持ちを楽にしてあげる
まずは、自分の気持ちを自分で楽にしてあげることから始めましょう。自分がつらい状態であるときになかなか前向きになることはできませんし、利用者とならまだしも、職員とのコミュニケーションを積極的にとりたいとは思えませんよね。そのようなときは、行動活性化を応用して、自分の気持ちを楽にしてあげることができます。自分にとって気分転換になることを積極的に行って行動活性化につなげることが大切です。仕事中であっても意識的に楽しい行動を増やすように取り組んでみましょう。
自分の気持ちを上手に相手に伝えてみる
行動活性化によって自分の気持ちを少しでも楽にすることができたら、次は自分の気持ちを相手に伝えてみます。「ミラー効果」という言葉をご存じでしょうか。相手は自分の鏡であるというように、自分が行った反応と相手が同じ反応をとってくれることをいいます。このミラー効果を活用し、言い方や、表情、ペースなどを意識しながらよい話し方を見つけてみましょう。そうしながら、仕事の相談など無駄だろうと1人で悩まず、自分から相手に話しかけてみましょう。自分の気持ちに正直になって真摯に相手と向き合って話をしてみることが大切です。コミュニケーションの可能性が広がり、相手から思わぬコミュニケーションのヒントをもらえることもあり、同僚職員に対する見方が変わるかもしれませんよ。
認知行動療法は手軽に応用できる!
「療法」という言葉がつくと難しく感じてしまうかもしれませんが、実は認知行動療法は手軽に応用できるものなのです。実際に、医療、介護系の職種は、一般職と比べてこの認知行動療法に関する勉強会が多く開催されており、効果を得ている人も多いのだとか。認知行動療法をヒントに自分の気持ちを相手に伝えるコミュニケーション能力を身につけ、介護の現場でも活用してみてはいかがでしょうか。
参考: