介護ニュース
知らぬ間に差別発言!? 介護事業者のLGBT事情
平成28年8月に男女雇用機会均等法が改正され、平成29年1月から施行されます。本改正では、男女の性別だけでなく、LGBTへの差別的対応もセクハラの対象と明記されました。介護業界でも、職場と介護サービスにおいてLGBTへの理解が求められています。
LGBTとは
LGBTとは、レズ・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダーの頭文字をとった言葉で、日本では性的マイノリティなどと訳されています。少数派といわれますが、実は人口の5%から7%が該当するといわれていますので、本人が公表していないだけで、身近にLGBTの悩みを持っている人は少なくはありません。
現在は、国際的にLGBTの理解・認識不足による偏見や差別をなくしていくことが求められるようになり、日本でも、性別による権利侵害の禁止等の条例を制定したり専用の相談窓口を設けたりする自治体が増えています。
介護業界に期待されるLGBTへの理解と雇用促進
いま、LGBTの人が安心して働ける職場づくりを、男女の性別による就業の違いや職場差別が比較的少ない介護業界が率先して行うことが期待されています。また、介護業界としても人材確保が大きな課題のため、LGBTへの理解をもって職場改善に積極的に取組む経営者が増えてきています。
LGBTに理解ある職場づくりは、就業規則に「性的指向、性自認により差別しない」等の条項を追加するだけでなく、目に見えるアクションが必要です。例えば、スタッフの男女別ユニフォームの廃止や、多目的トイレの設置、ホームページなどでLGBTへの取り組みについてふれるなどの行動を起こすことが求められます。LGBTへの理解不足による差別的な言動をなくすため、具体的な事例を紹介する研修の時間を設けることもよいでしょう。
LGBTへの差別的な言動・ハラスメントの例
- 「あの人、同性と喋っているとき楽しそう。怪しいよね。」
- 「たぶんソッチ系の人じゃない? オネエじゃない?」
- 「好きな異性のタイプは? なんで彼女つくらないの?」
具体的な差別的用語を使わなくても、ハラスメントとなります。本来は職場では不必要な言動でもありますね。LGBTへの取り組みは、男性・女性の性差によるハラスメント防止にも効果が期待されます。
今後求められるLGBTの利用者への配慮
LGBTの割合は20人に1人程度といわれていますので、利用者のなかにも該当する人もいるかもしれないという認識で、業務にあたりましょう。本人が公表していないにもかかわらず「LGBTですか?」と聞くことはNGです。利用者がこれまで生活してきた社会はLGBTに関する理解が少なかったので、これからも公表するつもりはない人がいるかもしれません。あくまで「どんな人でも安心して受けられる介護サービスづくり」のひとつとして、LGBTへの配慮ができるとよいでしょう。
LGBTに配慮した介護とは
- 身体、心、戸籍の性が異なる人がいることを念頭におく
- 配偶者が同性であったり、家族がLGBTであったりする場合に考慮した支援体制を組む
LGBTへの理解でスタッフと利用者の環境改善へ
改正男女雇用機会均等法にてLGBTへの差別的対応もセクハラの対象と明記されたことは、社会や介護業界のLGBTへの正しい理解を進めるきっかけのひとつとなりました。
経営者やスタッフがLGBTについて率先して学び、偏見をなくして、配慮ある職場づくりを実現することは、同じ悩みをもっている利用者が安心できる介護サービスの提供につながります。1月の施行を前に、今一度、施設の雰囲気や就業規則を見直して、LGBTについて考えてみましょう。
参考:
- 性同一性障害と介護 | LGBT-JAPAN
- ウェルおおさかVol.102 (PDF)|大阪市社会福祉研修・情報センター
- What’s LGBT|TOKYO RAINBOW PRIDE