24節気と旧暦の関係は? 介護施設で季節を感じさせる暦の使い方とは

利用者の生活が単調にならないよう、介護施設ではふだんの会話やアクティビティなどで随所に季節感を出していきたいものです。そのためのヒントになるのが暦(こよみ)です。日ごろ使っている通常のカレンダーだけでなく、旧暦や季節を24に分ける二十四節気について知っておきましょう。

介護施設に季節感を取り入れることが大切な理由

本来、日々の暮らしの中で季節の変化を感じたり、季節ごとの活動や行事に参加することは日常生活を豊かにしてくれます。しかしながら、介護施設で暮らす高齢者は介護が必要なため外出の機会が少ない人も多く、また、施設内は一年を通して空調管理されているため、どの季節も快適に過ごせる一方で季節の変化を感じにくくなっています。

季節の変化を感じて、それにあわせて生活をすることは心身を健康に保つために欠かせませんし、認知症予防にもなります。

季節の行事や身近な自然の変化を楽しむことは、利用者の生活の質を高めることにもつながるため、介護施設ではさまざまな場面で季節感を演出することが大切なのです。

知っておくと役に立つ旧暦と24節気とは

四季の変化が豊かな日本では、季節をあらわす言葉の表現や季節ごとの行事もバリエーションに富んでいます。そうした言葉や概念は、旧暦での季節の分け方である二十四節気にもとづくものが多くあります。知っておくと何かと役立つ旧暦と、二十四節気について説明します。

●旧暦とは?

私たちが現在使っているカレンダー(暦)は太陽暦(新暦)と呼ばれる世界共通のもので、1872年(明治5年)に採用されました。それ以前に使われていた暦が旧暦(太陰太陽暦)で、月の満ち欠けを主な基準にしながら、季節(太陽の動き)にもあわせた暦です。太陰太陽暦では、季節を知る目安として二十四節気が用いられます。

●二十四節気とは?

二十四節気は一年を通した太陽の動きを24等分し、その区切りごとに季節をあらわす名称をつけたものです。さらに、それぞれの気を3つに分ける七十二候という分類法もあります。二十四節気の日付は年ごとに変わり、国立天文台の観測結果により決められ、現代のカレンダーにあわせると次のようになります。

<1月(冬)>

・小寒(しょうかん/5日ごろ):厳しい寒さを迎える時期、この日以降に寒中見舞いを出す

・大寒(だいかん/21日ごろ):最も寒さが厳しいとき

<2月(冬〜春)>

・立春(りっしゅん/4日ごろ):春が始まる日

・雨水(うすい/19日ごろ):春一番が吹き、草木の目が出始める

<3月(春)>

・啓蟄(けいちつ/5日ごろ):虫が地中からはい出る時期

・春分(しゅんぶん/21日ごろ):昼夜の長さが同じになるころ

<4月(春)>

・清明(せいめい/5日ごろ):さわやかで陽気になってくる季節

・穀雨(こくう/20日ごろ):春の雨が降り、農作物が育つ

<5月(春〜夏)>

・立夏(りっか/5日ごろ):夏が始まる日、若葉が目立つ時期

・小満(しょうまん/21日ごろ):暖かさが増し、草木がしげる

<6月(夏)>

・芒種(ぼうしゅ/6日ごろ):稲や麦などの穀物の種をまく時期

・夏至(げし/21日ごろ):1年で昼が最も長く、夜が最も短い日

<7月(夏)>

・小暑(しょうしょ/7日ごろ):本格的に暑くなり始める時期、この日以降から立秋の前日までに暑中見舞いを出す

・大暑(たいしょ/23日ごろ):1年で最も暑い時期

<8月(夏〜秋)>

・立秋(りっしゅう/8日ごろ):秋が始まる日、この日以降に残暑見舞いを出す

・処暑(しょしょ/23日ごろ):暑さがおさまってくる時期

<9月(秋)>

・白露(はくろ/8日ごろ):秋らしさを感じ始める時期

・秋分(しゅうぶん/23日ごろ):昼夜の長さが同じになるころ

<10月(秋)>

・寒露(かんろ/8日ごろ):紅葉が始まる、穀物の収穫時期

・霜降(そうこう/24日ごろ):霜が降り始め、紅葉が美しい時期

<11月(秋〜冬)>

・立冬(りっとう/7日ごろ):秋が始まる日、北国では初雪が降る時期

・小雪(しょうせつ/22日ごろ):北風が吹き始める時期

<12月(冬)>

・大雪(たいせつ/7日ごろ):北風が強まり、雪が降り出す時期

・冬至(とうじ/21日ごろ):1年で昼が最も短く、夜が最も長い日

介護施設で季節をどう取り入れる?

多くの高齢者施設では年中行事や食事などで季節感を演出する工夫がされていますが、そこに二十四節気の知識を加えることで、さらに日常的に季節の変化を加えると、利用者に楽しんでもらえるのではないでしょうか。例えば「そろそろ秋分なので日が暮れるのが早くなりますね」と会話のきっかけにしてみたり、「霜降なので、もみじを飾りましょう」と言って一緒に飾りつけをしたり、などです。

二十四節気は時候の挨拶で使われることが知られていますが、俳句で季節をあらわす季語も、現代の暦ではなく二十四節気の分類によるものです。例えば、夏をあらわす俳句では5月の立夏から8月の立秋までの季節を象徴するような行事や動植物などにちなむ言葉を季語として使います。

そのため、俳句を詠む句会は年間を通して季節を感じるアクティビティやレクリエーションに最適でしょう。季語を題材としている書道や絵てがみもおすすめです。

これらの活動は脳トレにもなり、認知症の予防効果も期待できます。

このような工夫をすることで、コミュニケーションや活動の機会が増えていくと健康維持やリハビリにも役立ち、利用者の生活の質も高めることにもつながるのです。

旧暦を活用して季節感を演出しよう

旧暦は都市部で生活しているとあまりなじみがありませんが、現代でも仕事や地域によっては旧暦を使用している方もいるため、施設に入るまでなじみ深い生活を送ってきていた利用者もいるかもしれません。

二十四節気を知ることは利用者とのコミュニケーションをうながすツールにもなり、施設の年中行事やレクリエーションなどの企画にも役立ちます。日常会話の中に季節をあらわす言葉を使ったり年中行事を楽しむことは、利用者に季節の変化を感じさせ、生活の質を向上することにもつながります。

旧暦を活用して上手に季節感を演出していきましょう。

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